茨城大学 工学部 生体分子機能工学科


教員の研究


准教授  庄村 康人
金属タンパク質の生合成に関する構造化学的研究
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 タンパク質が多様な機能を発現するには,その構成要素としては20種類のアミノ酸では不十分で,多くのものはさらに金属や補酵素を必要とします.複雑な金属クラスターをもつタンパク質の生合成には,さらにいくつかのタンパク質の巧妙な連携プレーが必要で,これらのシステムの包括的な理解は生命科学における重要な問題のひとつだと考え,以下の2つの課題について,X線結晶構造解析を主たる手法とした構造化学的研究を展開しています.

1. 真核生物における鉄硫黄クラスター合成マシーナリー
鉄硫黄クラスターは多くのタンパク質に存在し,触媒,電子伝達,構造安定化,レドックスセンサーなどのさまざまな機能をになっています(下図左).クラスターの構成要素である硫黄原子と鉄原子は単体では反応性が高く,細胞内に遊離した状態で存在するのは好ましくないため,鉄硫黄クラスターの生合成は輸送・貯蔵・合成を一貫して秩序立てて行う必要があります.各生物種がもつそのような系のうち,もっとも研究が進んでいない真核生物の細胞質由来の系について,各構成タンパク質およびその複合体の結晶構造解析を進めています.

2. 水素分解・合成酵素活性部位の生合成の反応機構
バクテリアの細胞内で水素代謝の中心的な役割をになう水素分解・合成酵素の一つである[NiFe]-ヒドロゲナーゼは,タンパク質としては非常にまれな二原子分子を配位子としてもつ金属クラスターNiFe(CN)2COを活性部位にもっています(下図右).この合成経路の各ステップの詳細な反応機構の解明に向けて,X線結晶構造学的研究を行っています.


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