茨城大学 工学部 生体分子機能工学科


教員の研究


教授  久保田 俊夫
フッ素の特徴を活かした機能性有機材料の開発
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フッ素は最大の電気陰性度を持つことや、水素置換基についでサイズが小さいといったユニークな特徴を持っており、有機分子にフッ素置換基を導入することで、既存の有機化合物には無い魅力的な性質を持った有機フッ素化合物が得られます。私たちの研究グループでは様々な有機フッ素化合物の合成を行ってきました。最近は、高度にフッ素化された有機フッ素化合物の一つであるオクタフルオロシクロペンテンに着目し、この分子の持つ優れた反応性を活用することで、有用な物性を示すフッ素化ポリマーやフッ素化共役分子の開発を行っています。
(1)含フッ素透明高分子の開発
オクタフルオロシクロペンテン(OFCP)とホモアリルアルコールから、含フッ素モノマーBHFCを合成しました。BHFCのラジカル重合によって、スピロ構造とビシクロ構造を約4:1の割合で主鎖に含むポリマーが得られました。このポリマーは、アモルファス性と高いガラス転移温度を持つのに加え、紫外線から可視光まで高い透過率と低屈折率を示しました。アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルとの共重合も可能です。
(2)含フッ素多環芳香族炭化水素の合成
OFCPとアリール金属反応剤から得られる1,2-ジアリールヘキサフルオロシクロペンテンのMallory反応によって、ヘキサフルオロシクロペンテン環が縮環したフェナントレン誘導体を合成しました。これらの芳香族化合物は、π?π相互作用とフルオロフィリック相互作用によって、結晶中での高度な分子配列制御が可能です。
(3)含フッ素共役高分子の合成
含フッ素フェナントレンとフルオレン誘導体を交互共重合することで、直線型とジグザグ型の共役ポリマーを合成しました。直線型のポリマーでは、π?π相互作用により主鎖が会合し、吸収・発光波長が長波長シフトしますが、ジグザグポリマーでは主鎖の凝集が抑制されることを明らかにし、ポリマーの幾何学的な構造によって凝集状態がコントロールできることが分かりました。

含フッ素多環芳香族炭化水素の合成と、結晶中での分子配列制御 含フッ素フェナントレンを含む共役ポリマーと、固体状態での蛍光発光

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