茨城大学 工学部 生体分子機能工学科


教員の研究


教授  木村 成伸
電子伝達系タンパクの構造と機能に関する研究
shigenobu.kimura.phd

詳しいプロフィール・業績等はこちらの研究者情報をご覧ください。

 本研究室での主な研究分野は,
 「タンパク質分子の構造と機能」
 「タンパク質工学の基盤技術開発とその応用」
です。具体的な主な研究テーマは次のとおりです。

 文部科学省科学研究費補助金による研究と成果については
 http://kaken.nii.ac.jp/ja/r/90291608
をご覧ください。


1. 電子伝達系タンパクの立体構造と機能に関する研究
 フラビン(FAD, FMN)を補酵素にもつ電子伝達系フラビン酵素は,2電子系電子伝達体(NAD(P)H)と1電子系電子伝達体(フェレドキシン,ヘムタンパクなど)間の特異的な電子伝達を触媒・制御するコンバーター酵素で,生体内のさまざまな酸化還元反応に関与しています。Acidovorax sp. KKS102株は,環境汚染物質であるPCBなどのビフェニル化合物の分解酵素系を持っています。この分解酵素系に電子を供給する電子伝達系中のBphA4はNADHから特異的に2電子を受け取り,1電子ずつ鉄硫黄タンパクであるBphA3に電子を伝達するフラビン酵素です。これらBphA4,BphA3の特異的電子伝達制御機構を,反応中間体の立体構造変化を含めて明らかにすることを通して,電子伝達タンパクの特異的電子伝達制御の一般的原理とその戦略を明らかにしたいと考えています。

2. 貧栄養環境下での効率的な生物学的環境浄化をめざした新規微生物の創成
 Acidovorax sp. KKS102株由来のビフェニル化合物分解酵素系を蛋白工学的にNADPH特異的に作り変え,光合成微生物に導入することによって,光エネルギーを利用して貧栄養環境中でも効率的にPCBやダイオキシンなどの芳香族系環境汚染物質を効率的に分解できる新しい微生物を創り出そうとしています。このような新規微生物は,環境分野だけでなく,精密化学合成分野での応用も期待されます。

3. 微生物を用いたタンパク質遺伝子の発現制御に関する研究
 大腸菌を用いた異種タンパク質の大量発現系は,タンパク質分子の構造・機能研究など,生命科学・生命工学に不可欠な基礎技術です。しかし,タンパク質遺伝子の発現効率は遺伝子ごとに異なることから,タンパク質遺伝子の種類に無関係に発現量を制御できる汎用性の高い発現制御技術の開発が望まれています。私たちはこれまでにmRNAの分子内二次構造形成による翻訳開始阻害を回避できるポリシストロン性大腸菌用高発現プラスミドの開発や,「RBS干渉」を利用した発現制御の研究を行っています。


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